コラム
入管法改正案―なぜ抗議活動が起こっているのか?
不法就労入管在留資格外国人労務顧問職業紹介事業資格外活動許可政府が、今国会に提出した入管法改正案に対し、抗議の声が上がっています。
改正案は、国外退去処分を受けた外国人が入管施設に長期収容される問題の解消を図るとして、収容の代わりに社会で生活できる監理措置を新設することとされています。
しかし、その一方で退去命令に従わない人への罰則が設けられ、難民認定申請が3回目以降の人は強制退去の対象となります。
加えて、収容期間の上限や司法審査が盛り込まれていないことから、人権侵害であるとの批判もあります。
国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会は、本改正に関して、収容期間の上限と司法審査の2点が盛り込まれていないことを理由に国際人権規約違反であるとし、「移民の人権保護に関し国際的な人権基準を満たさないように見える」との書簡を公開しています。
これに対し政府は、収容するかしないかは入国審査官(主任審査官)が慎重に判断することからそれらについて必要ないとしています。
しかし、今の法律でも入国審査官が判断しており、現行法との変更点はありません。
司法審査について政府は、他国を例示して国際的な基準に反していないことを主張しています。
しかし、例示された米国には収容期限の上限が、英国には裁判所による保釈制度が存在し、日本ほど長期収容は常態化していません。
また収容期限の上限についても同じように主張していますが、例示された英国では6ヶ月未満が98%、韓国も平均は15日間なのに対し、日本では収容の7割が6カ月以上とされています。
本改正はその趣旨に反して長期収容を改めることができるのかという疑問の声があります。
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