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コラム

経営・管理ビザの改正

2025年10月、出入国在留管理庁は在留資格「経営・管理」に関する上陸基準省令および施行規則を改正し、要件の厳格化が進められました。

 

本稿では、改正内容や改正が与える影響について紹介したいと思います。

そもそも「経営・管理ビザ」というのは、外国人が日本で、貿易その他の事業の経営を行い、または、当該事業の管理に従事する活動を行うための在留資格となります。

そのため、このビザにより日本で活動する者は、外資系企業等の経営者や管理者として日本で活動することになります。

この点、事業の経営判断や組織運営に「実質的権限」を持つ地位の人が対象となるため、実務上のポジションとして、社長・取締役・監査役・事業部長・工場長・支店長が該当することになります。

 

今回の改正では、主に6つの変更が見られました。

1つ目は、改正の最大の特徴である資本金額の増額です。

最低3,000万円以上(旧500万)の払込資本または投下総額が必須条件となり、従来の額のおよそ6倍に増大しました。

 

2つ目は、1名以上の常勤職員の雇用が義務化されたことです。

これは新設された条件であり、常勤職員は日本人または身分系在留資格者であることが条件となっています。

雇用の実体が求められるため、採用計画、社保加入、労働保険の手当てを早期に進めることが重要になってきます。

 

3つ目は、日本語能力の基準が設けられたことです。

申請者または常勤職員のいずれかがB2相当(JLPT N2以上)を有することが求められます。

 

4つ目は、学歴・職歴に関する制限の新設です。

従来は明確化されていない場合もありましたが、改正以降は、関連分野の修士相当以上、または、経営・管理実務3年以上(起業準備活動期間も算入可)の要件充足が求められることになり、より高い専門性を身に着けていなければなりません。

 

5つ目は、規模に見合う専用事業所の確保が必要になることです。

自宅兼用は原則不可とされるため、物理的・客観的に「事業の実体」を証明しなくてはなりません。

 

6つ目は、事業計画の専門家確認が必要となったことです。

提出する事業計画書は中小企業診断士・公認会計士・税理士等による確認が必須となり、事業に関して、より客観的に具体性・合理性・実現性を示すことが必要になります。

 

なお、旧在留資格保有者は、2028年10月16日までに申請する場合に限り従来の基準での個別判断が可能とされていますが、3年経過後の更新は新基準により判断されるため、要件充足に向けて対策を講じなくてはならなくなります。

 

それではなぜ、今回の改正が行われたのでしょうか。

改正の背景には「在留資格の悪用問題」が挙げられます。改正前の要件は諸外国に比べても非常に緩く、特に資本金額については、円安が進んだ影響により「500万円」という基準は非常に低い水準でした(参考として、韓国は約3200万円、米国は約1500万~3000万円)。

そのため「お金で買えるビザ」と揶揄され、不法な在留資格の取得として悪用されていた実態が存在していました。

実際、東京入管の2023年調査によると、2023年9月~12月時点で疑義のある300件を調べたところ、そのうち9割が「事業実体なし」であったことが分かりました。

そのため、長らく不法就労の温床になるなどの問題が懸念されていたのです。

そのため今回の厳格化によって、起業の実体確保と経営の持続可能性を確保することが目指されました。

改正により、起業へのハードルは高まりますが、申請の段階で高い要件を提示することで、早期に事業の土台を見直しや起業環境を整えることに繋がり、参入後の信用力や事業の持続率を高める効果が期待されます。

特に3000万円という資本金は日本の中小企業の設立規模として見劣りしない水準のため、決済事業者・リース会社などの初期審査が通りやすくなるメリットをもたらし、企業間の競争の質も向上することが期待されます。

ただし、既存の資格保持者の更新リスクやスタートアップの柔軟性の低下という問題は依然残ったままなので、今後の動向に注目していきたいと思います。

 

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